すっかり秋も深まった先日、
夫くんの師匠のお店が30年超の歴史に幕を閉じました。
わかぽんの親世代より少し若いくらいのご夫婦で営まれていた小さなお店です。
ウチと境遇もお店の目指す方向も同じ感じ。
あ、夫くんが師匠のお店を意識してるからなのかもしれないね。
数年前から体調を崩し気味だった師匠。
息子さんがお手伝いしてるとは聞いていたけれど、「お手伝い」とのこと。
うちもそうだけれど、小さい頃から両親がお店をやっている姿を見てるとね…
大変さが見えすぎちゃうんだろうな。
継ぐ継がない、はホントに自由だと思う。
8月のお盆前に第2のお父さんのような存在だった師匠の訃報が届きました。
コロナ禍の中、入院中のお見舞いも叶わず。
お電話では年に1.2回お話するけど、最後にお会いしたのは3年前?
近くなんだけど、お互いお店があるからなかなか。
「お店はどうや?」「子供はいくつになった?」といつも気さくにお話してくれました。
夫くんには厳しかったけれどw
でもここ数年は「頑張れよ。頑張るんやで」何があっても踏ん張れと。
夫くんが師匠の元へ行ったのは、ちょうどわかぽんが銀行へ就職した年でした。
「どうしても働きたい店がある。あの人の所で技術を磨きたい」
そう言って、師匠のお店に直談判に行った。
当時それなりに経験はあったけど、わかぽんの初任給より安いお給料でも良ければということになった。
特に人手不足でも無かったのに雇ってくれた。
働かせて(修行させて)貰えることが有難いと当時の夫くんは言っていました。
ハッキリ言ってオシャレ感は全く無しの、ザ・昭和ちっくなケーキなの。
でもね、美味しい。
なぜだか(失礼は承知で💦)ちゃんと美味しいケーキなのです。
それは技術がしっかりしているから。
やっぱりそこに尽きると思う。
洋菓子の世界もオートメーション化が進み、様々な工程を機械が担ってくれたりします。
でも、生地は生き物。
上手く焼けなかったりした時の「なぜ?」が分かるのが職人。
機械の使い方が分かるのは職人ではありません。
そういう意味でしっかりした『職人さん』が減って来ているなぁと思います。
師匠亡き後、「○月○日で閉店します」と張り紙をしてからの1ヶ月は連日行列の大盛況。
奥さま(わかぽんと同じくずっとお店に立っておられます)が「あんな行列見たことないわ。大阪から来たって人もいたんやで」と教えて下さりました。
『有終の美』を飾ったあと、
「要るものあるんやろ?何でも全部取りにおいで!」とお声かけて頂き、
焼き型、道具、包材なんかをたくさん引き取ってきました。
リアルに助かる物がたくさん!
(実質、処分作業&費用も大変だからね…)
師匠の形見のようなものも頂いてきました。
こういう日々常に使っていたものなど。
こういうのっていくらあっても助かるので、有難く使わせて頂いてます!
夫くんがお店を開いた時、
師匠が言ったこと。
「ここからしかお金は入って来んのやぞ。ここから、店のことも家族のことも全部賄わなあかんのやで。よ〜覚えとき!」
ここと言うのは『レジ』のことです。
お店に足を運んで、商品にお金を払ってくれる人。
それをして下さるのは誰なのか?
お客さま。
お客さまの事をしっかり考えたら、自ずとやるべき事は分かるやろ?と。
実績や経験、技術に驕ることのない謙虚な『職人さん』でした。
そうそう、キンモクセイが香る季節になりましたね。
花言葉は「謙虚」だって。
奥さまの
「とりあえずゆっくりするねん」
には、もう単に「お疲れ様でした」とは言えない重みがあります。
うちにもその時が来たら、1ヶ月くらいかけてお客さまにしっかりとお礼を伝えてからお店を閉めたいな。
と、『理想の姿』も見せてもらいました。
まだその時はだいぶ先だと思いますので日々精進!
(夫くんがぶっ倒れたらその場でアウトだけど)
来月には19回目のお誕生日を迎え、20年目に突入します。
健康第一、身体が資本✨
師匠のこと、師匠と奥さまが見せて下さったものはしっかりとずっと心の中に・・・